社団法人 林業機械化協会

平成19年度林野庁の助成を受けて開発した林業機械の概要

 林野庁の助成を受けて開発している機械のうち、平成19年度に開発を終えた機械をご紹介します。これらの機械に関するお問い合わせは当協会へ

Tアタッチメント式汎用作業機械(販売中)

1開発の概要
 平成19年度は作業路の作設を効率的に行うため、支障木の伐倒と土工が効率的にできる機構の開発を行いました。
 具体的には、油圧ショベルのアームに格納式補助アームを取り付け、この補助アームにフェリングヘッド(伐倒用作業機)を装備したもので、掘削用バケットとフェリングヘッドを交互に使用して支障木の伐倒、伐倒木の移動、バケットを用いた作業路開設のための掘削作業をオペレータ1人で行えるようにしたものです。
 今回の開発では0.15m3クラスの油圧ショベルをベースマシンとし、バケットの容量は0.15m3、フェリングヘッドの最大切断直径は43cmとなっています。
2開発協力会社
(株)南星機械(熊本県菊池市)
3伐倒機の主要仕様
 最大切断径 430mm グラップル最大開き幅 1030mm  重量 320kg
4試験結果等
(1)作業機の切替時間
  ア バケット→フェリングヘッド(土工から伐倒へ) 22秒
  イ フェリングヘッド→バケット(伐倒から土工へ) 41秒
(2)作業時間等(あくまでも試験結果です。)
  ア 林況等:ヒノキ40年生、胸高直径20〜40cm、樹高約15m
  イ 作業能率
  ・作業路作設:32〜38分/10m
作業路幅 3〜3.5m、切り土高 1〜1.5m、作業路縦断勾配ほぼ水平。   
  ・作業工程:伐倒(谷側に伐倒)、かかり木処理、掘削・敷きならし・締め固め、 障害物(伐根等)処理をオペレータ1人(道路作設作業経験3年)で実施
  ウ伐倒時間
   ・開発機による伐倒(伐倒作業機をセットしてから、伐倒し、再び格納するまで)2分20秒〜4分30秒(グラップルによる残材処理を含む)/本
   ・チェーンソー伐倒(オペレータが機械から降りて、伐倒し機械に戻るまで)2分15秒〜5分(灌木等も処理)/1本

  
フェリングヘッドによる伐倒作業            フェリングヘッドを格納しての土工
(詳細 機械化林業2008年5月号をご覧下さい。)


U効率的な遠隔操作型林業機械開発事業
 開発の概要
 台風被害木の処理作業では多くの死傷災害が発生しています。このため、遠隔操作によって安全かつ効率的に風倒木処理を行うための機械を平成18〜19年度にわたって開発してきました。機械は、林内走行可能な箇所向けにリモコン式フェラーバンチャ、架線を使用しなくてはならない箇所向けとしてリモコングラップル付き搬器の2種類です。

1リモコン式フェラーバンチャ
(1)機械の概要
  中傾斜までの風倒被害地において、林内走行しながら風倒木の切断から集積までの作業 をすべて遠隔操作し、オペレータの安全を確保しつつ、風倒木処理が効率的にできる自 走式伐倒機械です。ベースマシンには平成17年度に開発した段軸機構とサポートウイ ンチを装備した林内走行が可能なリモコン式ベースマシンを改良して使用し、風倒木の 処理用として軽量で切断径の大きいフェリングヘッドを開発しました。
(2)開発協力会社
 イワフジ工業(株)(東京都港区)
(3)主要仕様
 ア ベースマシン
   エンジン ディーゼル 45kw  重量 5060kg
   操作方式 全操作無線リモコン
 イ フェリングヘッド
   最大切断径 500mm  グラップル最大開き幅 1330mm
旋回角度 360°(全旋回) 重量 380kg
(4)試験結果等
 軽量な全旋回式フェリングヘッドと、走行から切断作業、グラップル作業まですべて遠隔操作でできるベースマシンを組合せ、オペレータは安全な場所で効率的に風倒木処理ができました。フェリングヘッドは軽量なためベースマシンの安定性を損なうことはなく、グラップルの開口幅も大きいため曲がり状転倒木、ヤガラ状転倒木、かかり木状転倒木を掴むことは容易にできました。
 時間のかかる、伐倒木に近づくための走行の頻度をより少なくし作業能率を向上させるため、3m間隔の立木の間で旋回できる小回り性を犠牲にすることなく、ベースマシンのブーム・アームを約1m延長し最大作業半径を7.2mとしています。

    
風倒被害地での現地試験(18年度)            伐倒試験(19年度)

(詳細 機械化林業2008年5月号をご覧下さい。)


2リモコングラップル付き搬器(購入可能)
(1)機械の概要
 風倒木集材作業の安全性の向上と効率化を図るため、ウインチを搭載したキャリアにグラップルを装備し、荷掛手がリモコンによりグラップルやウインチを操作して集材できる機械です。
 また、キャリアにカメラを搭載し、集材機運転手が受像機の画像を見ながらキャリアを走行させたりグラップルやウインチをリモコン操作により作業効率の向上を図ることを目指しました。
(2)開発協力会社
  (株)南星機械(熊本県菊池市)
(3)主要仕様
 ア キャリア
重量683kg 
(キャリア本体381kg、グラップル272kg、吊り金具30kg)
 [上下作動型で使用する場合]  
  ・最大吊上力 11.8KN(1,200kgf)  巻上速度 15m/分
[吊り下げ型で使用する場合]        
・最大直引力 9.5KN(930kgf) 巻込速度 30m/分
 イ グラップル
・最大開き幅 1,700mm 爪先開閉速度 最大5秒 旋回速度 最大4回/分
(4)試験結果等
  ア根元径40cm、長さ25〜30m、重量600〜700kgの集材木を、荷掛手が遠隔操作によりグラップルやウインチを操作し、荷掛け、巻上げできました。荷下ろしも、集材機運転手が遠隔操作で作業できました。荷掛手が、遠隔操作により集材木から離れて作業できるので安全性は高くなります。
  イ集材距離200mの架線直下の材の集材作業では、集材機運転手と荷掛手が連携して上下作動型を使用して行った場合4.5〜6分、集材機運転手が吊り下げ型を使用して1人で行った場合でも5.5〜7分と効率的に作業ができました。
  ウ架線直下から15m離れた材の横取り作業は、集材機運転手と荷掛手が連携して、2〜3分でできました。

  
  上下作動型での横取り作業              吊り下げ型での集材作業
(詳細 機械化林業2008年5月号をご覧下さい。)


V森林整備効率化支援機械開発事業

1クローラ式運材トラック(引き続き開発)
(1)開発のねらい
 4輪駆動のダンプトラックをベースに4つのタイヤをクローラユニットに置き換えた車検取得可能な運材トラックです。ベースがトラックであることと特殊なゴムクローラによりクローラタイプのフォワーダよりも走行速度が速い上に、ナンバー付きのため伐採現場から木材市場あるいは公道脇の中間土場まで積み替えなしで一気に搬出する効率の良い搬出システムを構築することができます(公道では時速50km以上で走行可能)。さらに、サイドダンプ方式を採用することで積み卸し作業も効率化しています。
(2)開発協力会社
 新キャタピラー三菱(株)(神奈川県相模原市)
(3)主要仕様
トラック
 三菱ふそうキャンター4WD3転ダンプトラック(副変速機付)
 4クローラユニット装着で車検取得可能
 ・全長4,970mm、全幅2,180mm、全高2,600mm
 ・荷台長3,050mm(4m材積載可能)、荷台幅1,770mm、 荷台地上高  1,380mm
 ・最大積載量1,250kg(前輪タイヤの場合2,600kg)
 ・車両重量4,340kg 乗車定員3人 最小回転半径7.15m
 ・エンジン最大出力110kw
 ・その他 木材運搬用荷台架装、可倒式ステッキ装着 
クローラユニット
 全長 前用1,294mm、後用1,279mm、全高751mm、クローラ幅320mm
(4)試験結果等
 往路(実車下り)についてはフォワーダとほぼ同じ時間であったが、復路(空車登り)が大幅に短縮された為、約20%の作業効率アップとなりました。 試験を行った作業路は走行距離363mと比較的短かったが、搬出距離が長くなれば、走行速度の早いクローラ式トラックがより有利となります。
 また、フォワーダで山土場まで搬出し、中型トラックに積み替えて中間土場まで運搬し、再度大型トラックに積み替えて市場へ輸送する場合がありますが、このクローラ式トラックを使えば中型トラックへの積み替えを省略することができ、このために要する人員や機械が不要になり、効率化とともに一層の輸送コストの低減が可能になります。
 今後、積載能力の確保(最低3t)、回転半径の縮小、クローラユニットの耐久性の確認、トラックの操向機構の強度確認などを行い実用化を進めていく考えです。

    
積載状態 サイドダンプにより荷下ろしも簡単     積載状態
(詳細 機械化林業2008年6月号をご覧下さい。)

2集材機用間伐材搬出ウインチ(限定生産、残り2台 購入希望の方は当協会へお問い合わせ下さい)
(1)開発のねらい
 間伐や択伐作業で集材を集材機で行う場合、伐採木を吊り上げるためにロージングブロックを下ろすと、巻上索や横取索等で残存木を傷つけるおそれがあります。搬器の地上高が一定以下となる場合、ロージングブロックに自走式搬器を吊下げそのウインチを使って吊り上げ作業をしていますが、自走式搬器は直引力が1t程度なので大径木の全木集材は困難です。このため、高齢級の間伐・択伐等で大径木等の全木集材を効率的に行うため、直引力2tのエンジン式リモコンウインチを開発しました。
(2)開発協力会社
   有限会社 カワサキマシン(高知県南国市)
(3)主要仕様
  ・最大直引力  2,000kgf
・巻取速度      70m/分
・ワイヤロープ径・ワイヤロープ容量 12mm×70m
・重量     900kg
・エンジン  空冷ディーゼル 21.8kw/2,800rpm
・操作用無線到達距離 約200m
(4)試験結果等
 ウインチの巻取り・巻出し速度は実荷53m/分、空荷で69m/分と自走式搬器よりも速く作業性も良好でした。集材機集材では、搬器地上高を樹高の3倍程度確保しないと間伐・択伐等の全木集材ができませんが、本機を使用すれば搬器地上高が樹高の2倍程度の箇所でも集材可能になります。
 今後、さらなる軽量化を図るなどして実用化をしていきたいと考えています。

   
 開発機                          全木を吊り上げたところ
(詳細 機械化林業2008年6月号をご覧下さい。)

3急傾斜地運搬用2両連結式モノレールシステム
(1)開発のねらい
 急傾斜地においては人員輸送を主目的にモノレールが活用されていますが、集材に利用しようとすると、最大積載量が500kg程であるため運搬効率はよくありません。木材搬出作業あるいは作業路開設用ショベルの運搬等に使用するためには、最大積載量3,000kg程度の荷台を牽引できる動力車が必要ですが、人員輸送等軽作業の場合は過剰機能となります。このため、必要に応じて動力車を2両連結し、運転者1人で2両を操作できるような操作機構を開発することにより、人員輸送時には動力車1両、荷物運搬時には2両として、積荷に応じて弾力的に運用することで効率的な運転ができるモノレールシステムを開発しました。
(2)開発協力会社
(株)ニッカリ (岡山県岡山市)
(3)主要仕様
ア 牽引車
 ・全長 820mm 全幅 800mm 全高 1,130mm 重量 215kg
 ・エンジン    空冷4サイクルガソリンエンジン 13ps/3,600rpm
 ・走行速度   1速 30m/分、2速 42m/分
イ 荷物台車
 ・全長2,500mm 全幅1,189mm 全高1,195mm 重量350kg
 ・最大積載量  2,000kg/45° 3,000kg/30°
 ・その他 サイドローラーの操向機構、ブレーキ台車のバランス機構
(4)試験結果等
ア 連結、分割に要する時間は、それぞれ10〜15分でした。
イ 牽引車2両連結機構(走行・停止レバーをワイヤで連結し、2両を確実に同期させるとともに走行時牽引車間の上下、左右の揺れを吸収)を開発したことにより、運搬する荷物の重量に合わせて牽引車を単機と2両連結で使い分けることにより、小荷重時の無駄を省き、効率的で経済的なモノレール運搬が可能になりました。


   
(詳細 機械化林業2008年6月号をご覧下さい。)

4油圧ショベル用アウトリガー(購入可能)
(1)開発のねらい
 ロングリーチグラップル、プロセッサ等で作業する場合、狭い作業路上では、走行体の横方向(側方)で作業しなければならないことが多い。一方、ベースマシンに多く用いられる0.25〜0.45m3油圧ショベルは走行方向に比べ横方向の安定度が低い。このため、側方でも走行方向並の安定度を確保できるよう0.45m3油圧ショベルの側方両側に簡単な追加工事で取り付けられるアウトリガーを開発しました。
(2)開発協力会社
丸順エンジニアリング(株)(静岡県浜松市)
(3)主要仕様
 ・伸縮シリンダー ボア径  80mm ストローク 120mm
 ・格納シリンダー ボア径  55mm ストローク 165mm

(4)試験結果等
 開発品は丸順エンジニアリング株式会社所有のロングリーチグラップル(最大作業半径20m)試作機に取り付けられており、この試作機を用いて開発品の効果を検証しました。
ア クローラと直角方向にブームを向け、ブームを伸縮させて機体の安定度を検証したと ころ
  @排土板を接地し、アウトリガーは張り出さずにブームを伸ばしていくと、18.5mまではバランスがとれているが20mになると、ブームのたわみとブームシリンダの作動油のリークがあるものの機体が傾いてグラップルが接地してしまいました。
  A排土板を接地し、アウトリガーを張り出してブームを伸ばしていくと最大伸長20mでもグラップルが接地することはなく、機体も安定しており開発品の有効性が確認で きました。


アウトリガーを設置し、スライドアームを最大(20m)に伸ばした状態。
 アウトリガを使用しないとアーム先端のグラップルが接地してしまう

        
アウトリガ格納状態                       アウトリガ設置状態
(詳細 機械化林業2008年6月号をご覧下さい。)

5フォーク収納型グラップルバケット(販売中)
(1)開発のねらい
 平成10年度に開発したフォーク収納型グラップルバケットは、路網開設を主目的として掘削作業のほか、切り株の抜根作業と木材を掴んで移動・集積など複数の動作を効率よく処理できるアタッチメントとして好評を得ています。しかし、兼用型であるため、掘削作業では標準バケットよりもやや能力が低く、グラップル作業では木材の掴み量がやや少ないため、路網開設とグラップル作業がより効率的にできるよう改良しました。
 主な改良点は
@伐根等の掘り取り能力を向上するためバケット先端部を鋭くするとともに、土の締め固め作業の能率を向上するため、、バケット裏面の形状の平らな面を増やしました。
Aグラップルの掴み量が多くなるようバケット側、クランプアーム内側の形状を改良し掴み面積を拡大しました。
Bグラップル作業などの操作性向上のためバケットの回転速度を低速と高速に切り替える制御装置を開発・装備しました。
(2)開発協力会社
松本システムエンジニアリング株式会社(福岡県粕屋郡篠栗町)
(3)主要仕様
 ・バケット容量0.4m3、バケット幅875mm
 ・フォーク先端掴力2.9t
 ・グラップル最大開き幅1040mm
 ・全旋回式、旋回速度12rpm
 ・重量820kg
(4)試験結果等
ア  掘削等土工作業
  ・路肩掘削等では、大型の爪により地面への食い込み能力が増し能率が向上しました。
  ・バケット裏面の平らな面を増やしたため、オペレーターから土の締め固め作業がやりやすくなったとの評価を得ました。

イ  グラップル作業
   グラップルの木材を掴む面積を従来の約2倍にしたためグラップルが能力向上し、より多くの丸太を掴むことが可能となりました。また、はい積み作業などで  行われる、一本の丸太をグラップル先端でつまみ上げる作業も、アームを閉じる作業を低速で行うことでスムーズ行えるようになりました

  
丸太の一本掴みも可能に                 転石もしっかり保持
(詳細 機械化林業2008年6月号をご覧下さい。)